おいしいものだけを売る「奇跡のスーパー:まるおか」(前編)

みなさん、こんにちは。「新しい農業のカタチづくり」を目指している椴 耕作です。

今回は、“食の真のおいしさ”を求めてやまない「スーパー:まるおか」さん(前編)をご紹介いたします。

私が「スーパー:まるおか」さんを知るきっかけとなったのは、株式会社まるおか代表取締役社長 丸岡 守氏(以下、丸岡社長)の著書『おいしいものだけを売る 奇跡のスーパー『まるおか』の流儀』(株式会社商業界 出版)という本との出会いからです。

一般的に薄利多売のイメージがあるスーパーで「おいしいものだけを売る」ことが本当に可能なのか?今まで聞いたことのないお店の出現に、私は当惑してしまいました。

本を読み進めると、そこには、現代人が忘れかけている「食の大切さ」、「真のいい食材のすばらしさ」がちりばめてありました。

今回は、その本を読んで感じたことについて伝えたいと思います。

※以下、太字は丸岡氏の著書『おいしいものだけを売る 奇跡のスーパー『まるおか』の流儀』からの引用文です。

①「食」とは…

「食」というワードから、「人が生きていく上で必要不可欠なもの」、「身体をつくる元になるもの」、「健康を考える時に大切なもの」等々、いろんなことが頭に浮かんで来ると思いますが、大多数の共通認識として「できることなら、おいしいものを食べたい」が存在するのではないでしょうか。

そう、食べるなら「おいしいもの」を食べたいですよね。
「おいしいもの」を食べたら、人はどう感じるのでしょうか。
その答えが、この書籍にはありました。

おいしいものを食べると、人は幸せな気持ちになります。
おいしいものを食べると、人は元気になります。
おいしいものを食べると、人は明日へ向かう活力が湧いてきます。(同書籍 P14

「おいしいもの」を食べると、無意識のうちに笑顔になり、「おいしい」という言葉をもらし、幸福感を得ることでしょう。誰かと一緒に食事をすれば、その「おいしい」はシェアされ、みんなが感動の中に笑みを浮かべることでしょう。

この「感動するおいしいさ」は、真のいい食材から運ばれてきます。
真のいい食材は、食べる人の幸せを考えたこだわりのある農業者が生産しています。
そのこだわりのある農業者の思いをお客さまへ伝えることも、「まるおか」の大事な使命であると丸岡社長はおっしゃっています。

②生産者の“思い”を代弁し、その「価値」を伝える。

身体にいいもの、おいしいものをつくるためには、一般のものより手数を加えた生産方法が必要であるため、どうしても生産価格が高くなります。当然その分、販売価格も高くなります。

店を訪れるお客さんに「身体に良くておいしいから高くなっています」と言っても、それだけではなかなかご納得いただけません。

おいしい理由を、わかりやすく説明しなければなりません。

ここで、2つの事例を紹介したいと思います。

<その1>鶏肉:「南部どり」《アマタケ》

「南部どり」と呼ばれる鶏肉を生産している株式会社アマタケでは次のような特徴があります。

  • 六つのグループ会社で生産から配送まですべてを手がけている
  • 餌は無農薬のトウモロコシであり、抗生物質は与えません
  • 一般的な飼育期間より長く育ててから出荷する

食肉会社は農家と連携するのが一般的です。そのため、各農家によって品質にばらつきが生じます。同書籍P92によると、南部どりの価格は一般的な鶏肉の2倍になるそうですが、上記の特徴から、肉にはしっかりとうま味がのり、ちょうど良い歯ごたえが感じられるそうです。

無農薬の餌を使用しながら、おいしさや歯ごたえといったこだわりを大切にしているからこその価格といえるでしょう。

<その2>牛乳:「想いやり生乳」《想いやりファーム》

有限会社 想いやりファーム で生産されている「想いやり生乳」には次の特徴があります。

  • 極めて自然に近い環境で健康的に牛を育てています。
  • ストレスの少ない牛の母乳は、子牛に必要な酵素や免疫力をたっぷり持っています。
  • しぼった生乳に大腸菌が含まれず、生菌数が大きく基準をクリアしているため加熱殺菌をかける必要がありません。 

よく市販されている牛乳は「超高温瞬間殺菌」「高温短時間殺菌」「低温殺菌」のいずれかに該当します。高温であればあるほど、開封時に独特の牛乳臭さを感じます。

「想いやり生乳」は、加熱殺菌が行われないため、独特のこげ臭がなく、ひと口飲むと自然な甘さが広がり、後味が驚くほどすっきりしています。

同書籍P205P206によると、価格は720ml1,778と私も驚いたほど値が張りますが、「牛乳アレルギーだけど、これは飲めた」という声が届くほどの商品なので、値段以上に価値のあるものだと感じます。

また、自然の中でストレスなく育った母牛から出る母乳には、子牛を守るための酵素や免疫力がたっぷり入っているという自然界の摂理の凄さに驚かされ、このことはヒトにも通じるのではないかと思いました。

農薬、肥料等を使わずに、自然のまま作られた作物を身体に取り入れることができたら、ヒトも、薬やサプリに頼らない「超健康体」になり得るのではないでしょうか。

丸岡社長は、本当の自然の中で作られた食物を食し、人間本来の力に守られながら、より人間らしい生き生きとした暮らしをすることができるようにと、「おいしいものだけを売る」ということに徹しておられるのだと思います。

③パイナップル農家にカボチャの生産を依頼する(同書籍 P115~P117)

ここまで伝えてきた「こだわりの生産者」と「こだわりの商人」、それを結びつけているのは両者の信頼という絆です。その信頼の事例として、同書籍の中から1つエピソードを紹介します。丸岡社長が、パイナップルを育てている下地農園を訪れた時のエピソードです。

下地さんは、効率や輸送によるリスクを考えるよりパイナップル本来のおいしさを伝えたいと考え、畑で完熟させてから収穫を行っていました。多くのお客様を魅了するおいしさの秘密は、畑で完熟させていることにあるのです。(注)

お話をしていると生産に対する強い意思を感じられ、この人ならば何をつくったとしても信頼ができると私は確信しました。そこで思い切って、カボチャの生産をお願いしたのです。 

(注)完熟した果実は柔らかく、輸送中に潰れてしまうなどのリスクがあるため、一般的には、未熟なうちに収穫してしまい、輸送中や店頭で追熟される方法を採っている。

パイナップル農家に「カボチャを生産してほしい」とお願いすること。品種も異なるので、一般的には、なかなか言い出せないお願いかと思います。でも、丸岡社長は、下地氏の生産に対しての「真摯に取り組む姿」を知っていたので、敢えて無理とも思えるお願いをしたのです。

下地氏は、カボチャ生産を承諾し、その出来上がったカボチャは、サイズこそ小ぶりですが、きめ細かく濃厚な甘みが後を引く、ほっくりとしたおいしいものでした。

お互いの“信頼”を礎に誕生したのが、下地農園の「カボチャ」だったのです。

前編のおわりに

「おいしいものだけを売る 奇跡のスーパー『まるおか』の流儀」について、今回の前編では、私が特に印象深く感じた3点をお伝えさせていただきました。

スーパー「まるおか」さんの強みは、「なかなか出合うことのできない良質の商品を、どこよりも正確な情報を加え、適正価格で販売すること(同書籍 P158)」ができることです。

「本当に良いもの、おいしいもの」を作れば、生産者の気持ちを十分理解した上で販売してくれる「まるおか」さんの存在は、生産者サイドから見れば、きっととても心強いものがあると感じます。

生産者の気持ちが分かり、その思いを消費者の方に届けてくれる「お店」が増えれば、農業界ももっと元気になれるのではないかと思います。

次回、後編では、スーパー「まるおか」さんの、「食」を通じて育てる「人と心」に迫ってみたいと思います。


株式会社まるおか のWEBサイト→https://www.e-maruoka.jp


次回も、「おいしいものだけを売る 奇跡のスーパー『まるおか』の流儀」(後編)についてです。

 

 

1つ星2つ星3つ星4つ星5つ星 (まだ評価がありません)
読み込み中...