TOKYO MER 第4話 の備忘録

ども、ゆうたんです。

TOKYO MERの第4話です。

  • 私は医療を学んだことがないド素人であること。
  • 一部、ネタバレを含むこと。

上記2点にご注意の上、お読みいただけると幸いです。

登場人物

簡単に登場人物を確認しておきましょう。

<MER>

ERカー(作中に出てくる手術ができる車)で現場へ駆けつけるメンバーです。

  • 喜多見チーフ・・・主役。スーパードクター。
  • 音羽先生・・・腕のいいドクター。
  • 比奈先生・・・研修医。今回は高輪先生のオペに立ち会います。
  • 夏梅さん・・・優秀な看護師。
  • ミンさん・・・看護師。
  • 冬木先生・・・麻酔科医。
  • 徳丸くん・・・臨床工学技士。
<その他>
  • 高輪先生・・・循環器外科医。心臓移植手術の腕がいい。
  • 汐里ちゃん・・・レシピエント(臓器移植を受ける人)。高輪先生の患者。
  • 小山先生・・・心臓を運ぶ人。
ストーリー

第4話では、小山先生が汐里ちゃんに移植する心臓を運んでいる途中でトンネル崩落事故に巻き込まれます。その事故のことを知らないまま移植手術が進み、開胸され心臓むき出しの状態で待つ汐里ちゃん。小山先生と汐里ちゃん、2つの命を守ろう、というストーリーでした。

作中のセリフによると移植用の心臓の保存時間は4時間しかありません。

心臓の到着を待つ高輪先生

MERが出動要請を受けている頃、オペ室では心臓移植のために次のような準備が進められます。

  • 脱血管の固定
  • 人工心肺の開始

脱血管やら人工心肺やら難しい言葉が並んでいますね。順番に確認していきましょう。

心臓の役割と構造、血液の流れ

人工心肺やら脱血管を知るためには、まずは心臓の役割と構造、血液の流れを理解しなければなりません。役割については主に2つです。

  1. 肺から酸素の多い血液を受け取り全身へ送ること
  2. 全身を巡って酸素が少なくなった血液を肺へと送ること

また、構造と血液の流れについては、下図の通りです。

心臓についてもう少し詳しく知りたい方は「こちら」も参考にしてください。

人工心肺

人工心肺を使うと自身の心臓や肺を介さずに全身へ血液を循環させることができます・・・というのは私も知っていましたが、仕組みがよく分からなかったので調べました。日本心臓血管外科学会のサイト(※1)を参考に私なりに簡略化すると、きっと仕組みは次のようになるのだと思います。

  • 右心房へ血液を通さないために大静脈に「脱血管」と呼ばれる管をつける
  • 脱血管から貯血槽、そしてポンプへ(貯血槽やポンプで循環血液量を調整)
  • 人工肺で熱交換とガス交換を行う(本来の肺のように静脈血から動脈血にする)
  • 動脈血となった血液を「送血管」と呼ばれる管を介して大動脈へ送る

イラストにするとこんな感じ↓

なお、人工心肺を使っている間は血液が凝固しやすくなるので、ヘパリンを使用するようです。


と、ここで心臓がまだ到着しないことに対し「おかしいわね、(心臓の到着が)遅れるなら必ず連絡があるはずなのに」と高輪先生がつぶやきます。同じオペ室にいる医師に「どうしますか?」と尋ねられた高輪先生は「人工心肺を回したまま低体温で待機しましょう」と判断します。

一方その頃、事故現場では喜多見先生が移植ネットワークの職員が運ばれていることに気づきます。不安になった喜多見チーフは病院にいる比奈先生に連絡を取ります。その連絡で喜多見チーフと比奈先生は心臓を運んでいた小山先生が事故に巻き込まれた可能性があることに気づきます。またこの情報は高輪先生にも共有されます。情報を共有された高輪先生は比奈先生に事故現場へ行くよう指示します。比奈先生は、小山先生の輸血用の血液を受け取り、MERのイヤホンマイクを高輪先生に渡して現場へと急ぎます。

事故現場では小山先生がなかなか見つからず、心臓の保存時間も残り40分ほど。とうとう高輪先生は閉胸を決断します。その際、高輪先生が言ってた「ウィーニング」とは人工呼吸器を外して自発呼吸へと移行するプロセスのことです。(※2)

足が挟まって身動き取れない小山先生

小山先生を探し回ってやって見つけるも瓦礫に押しつぶされた車内で足が挟まっていて身動き取れません。車の隙間から手を伸ばした喜多見チーフが小山さんから心臓を受け取ることに成功しますが、その直後に小山先生の容態がさらに悪くなります。

細身の夏梅さんがわずかな隙間から車内へと体を進め、小山先生の右大腿動脈の遠位側に携帯エコーをあてます。エコーの結果、喜多見チーフはバルーン遮断カテーテルを使う決断をします。

  • 大腿動脈・・・右脚の付け根から膝上ぐらいまでを通っている動脈
  • 遠位側・・・体幹または心臓から遠いところ(※3)
エコー検査(超音波検査)

出産を経験している人であれば「あー、あれね」となる検査ですね。一般的には病院内で受ける検査で、大きなモニター、本体、プローブの3つを使います。体にジェルを塗ってプローブを押し当て、モニターに体内の様子を映し出して画像診断をするという検査です。

今回の作中では携帯エコーを使っています。携帯エコー(またはポータブルエコー)とは、プローブとタブレット表示器のみで画像診断ができるものです。

モニターに関するご注意

このシリーズのコラムで「モニター」という表現をよく使っていますが、エコー検査に使うモニターと心電図検査に使うモニターがありますので、前後の文脈からどちらを指しているのか読み取ってください。

バルーンカテーテル(IABO/REBOA)

小山さんは動脈を損傷している状態です。現在は車内の圧迫により抑えられていますが、救出に伴い隙間をつくれば一気に出血し、とても危険な状態になります。そのため、鼠径部(脚の付け根)からバルーンカテーテルを入れて血管を塞いでから救出しよう試みます。

おそらくですが、このシーンで言っているバルーンカテーテルとは、経皮的大動脈遮断術(IABO:intra–aortic balloon occlusion または REBOA:resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta)のことだと思います。IABOとREBOAの詳細な違いは分かりませんが、ほぼほぼ同義で比較的最近ではREBOAと呼ばれるようになった、ぐらいに思ってます(あってるか知らんけど)。

Wiley Online Libraryに掲載されている「日本救急医学会雑誌」のレポートにはIABOについて次のように説明されていました。(※4)

バルーンカテーテルを用いて,胸部下行大動脈以下の血行を一時的に遮断し,脳血流と冠血流を維持すると同時に,体幹の出血を一時的にコントロールする方法である。

またREBOAについては、「外科と代謝・栄養54巻4号」の「REBOAによる出血性ショック治療の最前線」(※5)に詳しく書かれいますし、海外の団体(※6)もYouTubeで手技を公開してくれているので、興味のある人は確認してみてください。

ERカーへ運ばれた小山先生

バルーン挿入後、車のわずかな隙間から救助された小山先生はすぐにERカーへ運ばれます。ERカーへ運ばれた小山先生の状態は、心拍数46、血圧180/110、呼吸8回(1分で?)、瞳孔不同が起きており、脳圧亢進状態で急性頭蓋内血腫が疑われました。

目の観察(眼位と対光反射)

医療系のドラマを見ている人であれば必ず1回は患者の目を観察しているシーンを見たことがあるでしょう。あの観察では「眼位の確認」と「瞳孔の確認」をしています(私は2つしか知りません、もっとあったらゴメンナサイ)。眼位や瞳孔を観察するのは知っていましたが「観察の結果、何が分かるのか」までは知らなかったのでググりました。(※7~※15)

ググった結果をまとめるとこんな感じ↓


喜多見チーフが、急性頭蓋内血腫を疑い、硬膜外血腫だと判断するまでの間に出てきたセリフで「ドップラーで足背動脈みれますか?」が気になったのでピックアップしたいと思います。

ドップラー(ドプラ法)

エコー検査(超音波検査)の1つです。前述のエコー検査(超音波検査)では「見る」でしたが、今回は「聞く」がメインです。何を聞くのかと言うと血流の音です。

どんな音なのか聞いてみたくて探してみたら、一般社団法人 足の番人 のFacebookにアップされてました。(※16)

Facebookにアップされてた音が正常の人の血流音なのか定かではありませんが、異常がある場合には弱くて低い音になったり、無音だったりするそうです。また、その音の波形も記録できるそうです。(※17)

おわりに

今回のコラムで特に大変だったところは下記2点です。

  • 人工心肺の仕組み:人工肺とポンプの配置が逆になっている説明があって頭パニックになりました。結局分からずじまい…。
  • バルーンカテーテル:普通にバルーンカテーテルで調べたら尿道カテーテルばっかりでした。また、大動脈に使うバルーンカテーテルもIABPばっかりで、なかなかIABOやREBOAに辿り着けませんでした。

目の観察でたくさんサイトを紹介したので、大変そうに思ってくださる方もいるかもしれませんが、イラストの作成で少し時間がかかったものの上記2つに比べたらめちゃくちゃ簡単でした。
あ、書き忘れてた!喜多見チーフが作中で言ってた「アンプタ」というのは「四肢の切断」という意味です。右脚の状態次第では切断の可能性があるよ、と言ってたんですね。
今回もこんなド素人のコラムをお読みいただきありがとうございました!

参考

※1 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 https://bit.ly/3g3PO7u
※2 株式会社クイック 看護roo! https://bit.ly/3yUDayW
※3 Wikipedia https://bit.ly/3m9E47s
※4 Wiley Online Library 日本救急医学会雑誌 https://bit.ly/3xMYO72
※5 J-STAGE 外科と代謝・栄養54巻4号 https://bit.ly/37NN3mb
※6 YouTube EVTM https://bit.ly/3ge6KIq
※7 株式会社レアネットドライブ ナースハッピーライフ https://bit.ly/3g9jIqQ
※8 Twitter OJ★@jun0426 https://bit.ly/3k5Qmea
※9 MSD マニュアル プロフェッショナル版 https://msdmnls.co/3soGm3H
※10 日本赤十字社 松山赤十字病院 https://bit.ly/3iWlSMq
※11 福島救急撮影カンファレンス https://bit.ly/3sxWD6j
※12 Twitter 嘯(しゃお)@xiao_signo028 https://bit.ly/37Y0dgp
※13 MSD マニュアル プロフェッショナル版 https://msdmnls.co/3mcyu4i
※14 オールアバウトビジョン https://bit.ly/3AOiolg
※15 オールアバウトビジョン https://bit.ly/3sDpJkZ
※16 Facebook 一般社団法人 足の番人 https://bit.ly/3APMnct
※17 独立行政法人 国立病院機構 京都医療センター https://bit.ly/3CYZ2LY

執筆者:鍛治田 祐子(ゆうたん)

IT業を経てFPに。コラムでは多岐にわたる内容を執筆中。
【一言メッセージ】私はよく忙殺されて上方偏視で白目向いてます。

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