改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)施行から 1 年、効果はあったのか?

改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)

こんにちは、大西です。2019 年に「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」が改正され、大企業のパワハラ防止対策義務化から 1 年が経過しました。今回は統計を用いて、その効果を検証したいと思います。 また、2022年4月には中小企業(※1)の義務化が迫っています。今からできる対策についてもお伝えしていきます。

法律の詳細について確認しておきたい、という方はこちらをご参照ください。
厚生労働省 職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました︕
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000611025.pdf

法改正の効果はあったのか?

結論から申し上げますと、現時点では法改正の効果は限定的と言えそうです。

たとえば、厚生労働省が発表している令和2年度の「過労死等の労災補償状況」(※2)では仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害と認定された件数が前年度より上昇しています。理由となる原因として「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」・「同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた」といったハラスメントが上位 3 位以内にランクインしている点は前年までの傾向と変わっていません。

⺠間の調査(※3)でも、「職場でパワハラの内容・方針の明確化や周知・啓発に関して何も行われていない」・「対策しているが不十分」などの実態が明らかになっています。

一方、「職場におけるパワハラ防止対策の促進」が意味のあることだと伺えるデータもありました。厚生労働省の調査(※4)では、勤務先がハラスメント対策について「積極的に取り組んでいる」と回答した人の方が、職場の生産性、自分や周りの業務負荷、上司/部下とのコミュニケーション等の項目で「改善された」の割合が高いことが明らかにされました。

また、パワハラを受けた後の行動について、勤務先の取組評価別にみると、取組評価が高いほど、パワハラを受けた後に周りに相談する割合が高く、「何もしなかった」と回答した割合が減少していました。

 

これらの結果はパワハラ防止法の施行との直接的な因果関係を示すものではありませんが、職場のパワハラ防止対策を促進する価値はありそうですね。

今後の対策について

以上の調査結果から、職場のハラスメント対策を進める法や制度について職場内で広く伝えること、相談窓口の敷居を低くしていくことが求められていると感じました。

中小企業では、パワハラ対策に割けるリソースに限りがあると思いますが、厚生労働省のサイトには、研修講座社内アンケート/相談受付票の様式各種相談先のリンクなどが充実しており、だれでも無料で利用できます。

厚生労働省 オンライン研修講座 「みんなで NO ハラスメント」
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/learning/

厚生労働省にしては、ビジュアルデザインが可愛いのが特徴です。 労働者向けと人事/労務向けのそれぞれに教材とチェックテストが設定され、全問正解すると受講証明書が発行されます。

さらに、先の厚生労働省の調査では、職場の対策の課題として、ハラスメントかどうかの判断の難しい点が挙げられていました。

 

自分はそう思っていなくても業務の適正な範囲を超えてパワハラに認定されるケースが考えられますので、日々のコミュニケーションも見直していきたいところです。言い方ひとつで聞き手の印象が大きく変わることもしばしばありますし、自分では無自覚なことも多いので気をつけましょう(自戒をこめて書いています)。

参考)厚生労働省 言い方ひとつで変わる会話術
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/manager/conversation-technique/

平木典子 アサーション入門:自分も相手も大切にする自己表現法 (講談社現代新書)
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000210629

同じ調査の中で、現在の勤務先でパワハラを経験した者と、パワハラを経験しなかった者とで職場の特徴の回答を比較すると「上司と部下のコミュニケーションが少ない/ない」の項目で最も差異が大きく、パワハラを受けた人の回答割合が高くなっていました。コミュニケーションの機会を多くとることも改善につながりそうです。

中小企業の対策義務化まで半年を切りました。以上の記事が皆さんの職場の改善に役立てばうれしいです!
お読みいただき、ありがとうございました。

 

※1 中小企業の定義は業種等により異なります。ご自身の職場が中小企業に該当するか気になる場合は下記サイトをご覧ください。
中小企業庁 FAQ「中小企業の定義について」
https://www.chusho.meti.go.jp/faq/faq/faq01_teigi.htm#q5

※2 厚生労働省 令和 3 年(2021 年)6 月 23 日
令和2年度「過労死等の労災補償状況」を公表します
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19299.html

※3 日本労働組合総連合会 令和 3 年(2021 年)6 月 25 日
仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査 2021
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20210625.pdf?5911

株式会社ライボ Job 総研 令和 3 年(2021 年)6 月 21 日
「2021 年ハラスメント実態調査」
https://laibo.jp/info/20210621-2/

※4厚生労働省 令和3年(2021年)430
「職場のハラスメントに関する実態調査」の報告書を公表します
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18384.html

 

 

 

 

 

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