「年輪経営」とは

みなさん、こんにちは。「新しい農業のカタチづくり」を目指している椴 耕作です。

今回は、「年輪経営」について、スポットを当ててみたいと思います。


「年輪経営」とは、トヨタ自動車の豊田社長も師の一人と仰ぐ「伊那食品工業株式会社 最高顧問 塚越 寛 氏」が提唱されている経営のあり方です。

自然界には多くの樹木が生育していますが、その中でも、「年輪」幅が等間隔で育った樹木というのは「良質の木材」として、その価値は大変高くなります。そうなるためには、激しい風雨にさらされ、気候が変動する自然環境の中においても、少しずつ、バランスよく成長していくことが求められます。

「年輪経営」とは、自然界の樹木のように、どんな環境下においても、少しずつ、バランスよく成長する会社経営のあり方です。(特に不況下においても成長を続けられることが「年輪経営」の真骨頂と言えます。)

末広がりのいい会社をつくる 人も社会も幸せになる年輪経営 【伊那食品工業株式会社 最高顧問 塚越 寛 氏(著)】」の書籍を通じて、塚越氏の熱い思いに触れさせていただく機会を得ることができました。

以下、特に私が感銘を受けた点について、フォーカスさせていただきますね。

「売れるからといってつくり過ぎない、売り過ぎない。」

「売れるからといってつくり過ぎない、売り過ぎない。」(同書籍 P36)

売れる商品、つまりヒット商品が出ると、増産して売上げを伸ばしたいと考えるのが一般的ではないでしょうか。しかし、塚越氏は次のように述べています。

自分の会社が急に大きく売上げを伸ばすということは、ライバル会社の急な減益につながるということ。そうなると、敵をつくることになる。「末広がりのいい会社をつくる」ためには、敵をつくったらいけない。少しずつ売上げを伸ばす会社であれば、その間にライバル会社も対策を練ることができる。そのためにも、少しずつ成長して少しずつ売上げを伸ばすということがとても大切になってくる。

もう一つの理由として、ヒット商品はそう長くいつまでも続くものではないということ。目の前のヒット商品のため、過大な生産設備を抱えてしまったら、売上げが減に転じた時、新商品を開発するための設備投資等が行えなくなってしまう危険性が極めて高くなる。

自社の経営だけでなく、ライバル会社にも配慮するという塚越氏の考え方、“すごい!”の一言です。

 

「『大量に売る』よりも、独自のルートで『きちんと売る』」

「『大量に売る』よりも、独自のルートで『きちんと売る』」(同書籍 P163)

自社の製品を自社の店舗で販売するというのが理想的な商売の方法。

『きちんと売る』とは、適正な商品管理体制のもと、適正な利益率を保つということ。

「利益」は、第一に、会社経営の目的である社員の幸せ、世の中の幸せ実現のためにある。

社員の給料を削ってまで安売りすることは誤りである。

適正な利益率を維持することの重要性、あらためて肝に銘じるべきと思いました。

 

「自社の経費は他社の売上」

「自社の経費は他社の売上」(同書籍 P129)

社員に「経費を節約しなさい」と言ったことはない。

仕入先が儲かれば、めぐりめぐって自社も潤うもの。

社員が快適に、楽しく、安全・健康に過ごすための経費であれば切り詰める必要はなく、「経費の節約」と「無駄の排除」が異なっていることをきちんと認識していればよい。

「経費の節約」と言うと、すぐに「何でも節約」と考えてしまいがちなのですが、そうではないことにあらためて気づかされました。また、何よりも社員の幸せ、働きやすさを第一に考えている塚越氏の経営方針に感服させられるばかりです。

 

「経営とは『時代適応業』」

「経営とは『時代適応業』」(同書籍 P173)

経営者は、絶えず世の中の変化を冷静に把握するよう努めなければならず、遠きをはかるために、日々学びを怠ってはならない。

また、経営者が何よりも見落としていけないのが、人々の価値観の変化である。時代とともに変化していく人々の価値観を読むことができないと、大変危ういことになることを、経営者は知るべきである。

さらに、時代の変化を読みながら、絶えまなく「種まき」として事業を起こしていくことが不可欠である。

当社は、異常気象や食料不足といった将来起こり得る社会問題を予見して、農業生産法人を設立した。

2006年に農業生産法人「ぱぱな農園」を設立されています。地元の遊休農地の荒廃を防ぐことが一番の目的だったそうですが、そこに新たな雇用も生まれたそうです。

伊那食品工業株式会社は、主に寒天を製造されている会社です。その会社が将来を見越して、会社の事業として農業にも取り組んでいらっしゃいます。

世界に目を向けると、2020年の世界人口は約78億人で、前年に比べおよそ8000万人の増となっています。30年後の2050年には97億人に達すると予想されています。人口が増えると、今以上に食料不足が懸念されます。

今回のような世界規模での新型コロナ禍では、既に食料の輸出入にも多大な影響が出ています。今後このようなウイルスの蔓延、また、大規模災害が発生すれば、各国が食料の輸出規制に動くであろうことは、想像するに難しくありません。そうなってくると、身近なところで食料を調達できるようにしておくことが、いかに重要なことであるかが分かってくると思います。

これからの時代を考えるにあたって、伊那食品工業株式会社の取組みは、非常に示唆に富んでいるものと言えるのではないでしょうか。

 


伊那食品工業株式会社のWEBサイト→https://www.kantenpp.co.jp/corpinfo


次回は、“農業に情熱を”と提唱されている株式会社農業総合研究所の取組みについて、フォーカスしてみたいと思います。

 

 

 

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